7月10日
朝7時頃目が覚める。M先生、たばこを一服している。「おはようございます」。ほんの少しまどを開けて寝たのだけれど蒸し暑くもなく・・・こちらの気候はいいですね。朝食ルームへ食事をとりにいく。パリの朝は一杯のカフェオレから始まる。セルフサービスだけど。係りのマダムが配ってくれるクロワッサンのほかにテーブルにバゲット・パンやフルーツポンチがおいてある。イギリスではミルクティーだけどフランスではちゃんとコーヒーを飲んでいる私。旅先での朝食タイムが好き。
さてパリにやってきた目的。それは、以前行かなかった小さな美術館をたずねること。まず「ギュスターヴ・モロー美術館」へGO!
表に出ると道路がぬれている。朝方雨が降ったみたい。建物の中は寒いかもしれないので上着を念のため持参。地下鉄のジョルジュサンク駅で、まず10枚つづりの回数券を買う。カルネといいます。地下鉄の切符は入場すると刻印を押されますが、出るときはチェックなしです。でもたまーに途中で駅員にチェックされることがあるので、目的地まで切符は持っていた方がいいです。地下鉄1号線に乗りコンコルドで乗り換え12号線でトリニテ下車。パリの地下鉄は乗り方がわかりやすい。みな数字で記されているし。目的の駅の方向の終点方面を目指して乗り換えればいいのです。
モロー美術館はモローが生前住んでいたところを美術館にしたもの。ここは私の好きな「テスピウスの娘達」と「神秘の花」「求婚者たち」がある。「テスピウスの娘達」はテスピウスはヘラクレスがネメアの獅子退治に赴いたおり、これを迎えて歓待し自分の50人の娘とめあわせた・・・なんかハーレムみたいでいいなあ。「求婚者たち」はトロヤ戦役の後20年を経てようやく母国にたどり着いたオデゥッセウスは留守中に多くの男達が妻ペネロペーに言い寄っているのを知り、乞食に身をやつしても強弓をもって求婚者たちを射殺していく・・・耽美な死のにおい・・・。うっとり。スケッチなども展示されていて興味深い。それにしても一枚一枚の絵が大きくて驚きました。館内では日本語で解説も聞けます。下の階ではモローの美しい住まいが見られます。
お次に行ったところは「ガリエラ美術館」(モード衣装美術館)。9号線イエナ下車。土曜日でイエナの通りはマルシェになっていた。お花や衣料品食料品など・・・おいしそう。眺めながら美術館へ。ちょうどウェディングドレス展が開催されていた。アンティークのものから、ヨージ・ヤマモトやゴルチェのものまで。ここでウェディングドレスのカタログと以前に開催されていたウイーンの衣装展のカタログを購入。
お昼をまわっていたので、美術館のお向かいのカフェでランチをとることにした。お店の入り口にムニュが。ムニュとは定食のこと。ふつうのカフェなのでフランス語だ。なんだかよくわからなかったので、3種類1つずつ注文した。私のは兎肉のパテと干したお魚(タラかも)のソテーにミネラルウォーターがついてきた。野菜サラダや牛肉のソテーの人もいたので、皆でいろいろつつきあった。向こうのテーブルの人が大きなプリンを食べている。Yちゃんが食べたそうにしていたが、我慢したみたい。
「さて、これからどこへ行きましょう?」「私としてはマルメゾンの館にいきたいんですが・・・。」と小林。「ナポレオンとジョセフィーヌ」も読んだし。「よし!そこ行こう!」と、M先生。
「マルメゾンの館」。
の行き方がガイドブックに書いていない。すごーく昔のマリ・クレールにちょっと載っていただけ。それを頼りにでかけることにした。なんだか、本など買って荷物があったのですがそのまま出かけました。まず。地下鉄1号線の終点、ラ・デファンスへ。ラ・デファンスは新凱旋門(グランド・アルシュ)のある街。階段を登って表へ出ると、ショッピングセンター、映画館、グランド・アルシュがある。記念に写真をパチリ。ここからバスが出ているらしいのですが・・・よくわからない。ので、タクシーを使うことにした。タクシー乗り場は、えーと。案内にしたがって下に降りていくと、なんか真っ暗なところに。街の下なのでずうっとどこまでも真っ暗なのだ。ここは、一人では危険なんじゃないかしら。3人だからいいけど。少し明るくなったところにタクシーが三台止まっていた。年配のおじさまのタクシーに乗り込む。「マルメゾン・シルブプレ」タクシーは走り出した。
「このあたりがマルメゾンだよ」と、おじさまは言っているようだ。「えーと、シャトー・マルメゾン。ミュゼ・マルメゾン?」おじさま、わからないみたい。途中、道行くマダムと乗馬をしている人に道を尋ねながらそれらしきところに、やっとたどり着く。わたしが車を降りて受け付けの人に「シャトー・マルメゾン?」と確認すると「そうよ」のお返事。タクシーのおじさまには、帰りも乗せてもらうため、待っていてもらうことにした。
「マルメゾンの館」とはナポレオンと結婚したジョセフィーヌがナポレオンが海外遠征中、かれのお給料も考えずに購入してしまった館です。ナポレオンは「え?!」とびっくりしたけど、ナポレオンも下見をしたことのあるお屋敷で気に入っていたので、まあ、許すとしたらしい。第一執政となったナポレオンはパリのチュイルリー宮殿に住んだけれど、この住まいを「権勢と同じように淋しい」と言って、旬末はかならずマルメゾンですごしていたらしい。美しく優雅なジョセフィーヌは600着のドレスを持っていて、日に5,6回も着替えたらしいです。すごーい。彼女は薔薇の花を好み、何種類もの薔薇を科学的に栽培したそうな。薔薇の宮殿画家ルドゥーテのパトロンでもあったみたい。二人のもっとも幸福な頃のエピソード。この館はジョセフイーヌがナポレオンと別れたあとも彼女が住んでいたらしい。館のなかはエジプトとギリシャ風の装飾でこらされていて、とても洗練されています。ベルサイユ宮殿の「ロココ」を見た後にご覧になると、目からウロコです。応接間には私の好きなジロデの絵が飾ってあります。ジョセフィーヌのアパルトマンのブドワール(化粧の間)など眺めると当時の彼女の生活をかいまみられるかも・・・。
出口の横がショップになっていて、いろいろ絵はがきを買う。 館のカタログはモノクロ写真でピンとこなかったので買うのはやめた。
お待たせしました、おじさま。一時間も待たせてしまったのに、往復のタクシー代しかとられなかった。なんていい人だろう。ラ・デファンスに着くと「駅はあっちだよ」と教えてくれた。どうもありがとう!
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