「私説三国志 天の華地の風」作者、江森備さんは、ずっと歴史小説をお書きになられておりますが、昨年、新作を発表されまして、ご指名を受け、久方ぶりに装丁画を描かせていただきました。暫くぶりにタッグを組みました。
「ガイウス 若きカエサルの冒険」(復刊ドットコム 刊)
ガイウス・ユリウス・カエサル。(ジュリアス・シーザー)
古代共和制ローマの軍人、政治家、文筆家。
世界史上最高の指導者。
その、彼の19?25歳くらいの時の冒険譚。
海賊と対峙する「海賊」と、19歳の時特使としてビチュニア王国に出かけたガイウスがその後、かの国を再訪する「王国」の二本立て。
教科書に載っていたあまりにも有名な人物です、どうしようかなあ?とおもったのですが、ビジュアルデザインは、BBC制作テレビドラマ「シャーロック」のシャーロック・ホームズ役、ベネディクト・カンバーバッチがガイウスだったら…というコンセプト。(笑)
髪の色は江森さんと相談して、黒に決めました。
ユリウス氏族の花は薔薇の花。
「薔薇はローマでは女神ウェヌス・アフロディテ(美の女神)の花。私の祖先なんだよ」と、苦笑する
ガイウスが印象的でした。
古代ロマン模様と、古代ローマ人は古代ギリシャが大好きだったらしいということで、
古代ギリシャ模様を描きこみ、
文筆家なので、パピルスを右手に持たせ、
後ろの石像は、ガイウスの素っ裸を象徴して入れました。素っ裸、難しいです。
要勉強。
資料にさせていただいた、塩野七生先生著「ローマ人の物語」(新潮文庫)に、
(ガイウスは)「生涯を通じて彼を特微づけたことの一つは、絶望的な状態になってもきげんの良さを失わなかった点であった。
楽天的でいられたのも、ゆるぎない自信があったからだ。そして、男にとって
最初に自負心を持たせてくれるのは、母親が彼にそそぐ愛情である。
幼時に母の愛情に恵まれて育てば、人は自然に、自信に裏打ちされたバランス感覚も
会得する。
そして、過去に捕らわれずに未来に眼を向ける積極性も、知らず知らずのうちに
身につけてくる。」
それと「ガイウスは何人も女性がいたらしいのですが、誰からも恨まれなかった。」
とありまして、とても印象的でしたので、
こちらも、頭の片隅に置きながら、描かせていただきました。
久しぶりの書籍装丁画なので、よろしければご覧くださるとうれしいです。
今春発売です。