歴史劇(群像劇)を見ていたころヴィスコンティ監督作品映画はいくつか拝見したんです。
これはちょっと…という表現もありましたが、
文学的(純文学といわれるカテゴリー)なんです。
なぜ歴史劇(映画など)をみていたのかといいますと、
まず、当時のファッション(コスチューム)に興味があったのと、
画面構図の勉強。地に足のついた(安定した)表現を感じられると言ったらいいのかな。
「山猫」は跨いだ世代を表現した映画だったのかしらと。
「山猫」とは、主人公サリーナ公爵の公爵家の紋章のこと。
1963年、カンヌ映画祭でグランプリに輝いた作品です。
1860年代のイタリアのシチリアを舞台に、
美しく黄昏てゆく当時の貴族世界や当時の社会情勢が描かれてます。
イタリア統一にために立ち上がったガリバルディ将軍が、赤シャツ隊を率いてシチリアに上陸。息子のように愛する甥タンクレディ(アラン・ドロン)が結婚相手に自分の娘でなく新興ブルジョワジーの娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)を愛し彼女を選んだり…と、容赦ない時代の流れや自分が老いたことなども含めてイタリア貴族社会の終焉を感じるサリーナ公爵。
長い映画で、3時間です。日本語吹き替え無し。
最近作られる映画からは考えられないような、一見意味のないことに思われるような長いシーンなどありますが、そのシーンこそが
ヴィスコンティ映画の空気を作っているのです。
ときどき仕事のBGMで流しているDVD。空気感じたいので。
主人公サリーナ公爵(バート・ランカスター)。
がっしりしたロマンスグレー(男前)。
私好みの風貌のおじさまだ。
ヴィスコンティ監督は貴族出身の方です。ミラノ(?)のヴィスコンティ家の末裔。
支配階級の精神性や伝統的なものの良さを芸術性豊かにごく自然に
表現してゆく。
監督の美意識は素晴らしく、私、アラン・ドロンてそんなに好きというほどではないのですが(すんごい色男!なんですけどね)、このタンクレディはビジュアル的に大好き!
うっとりするし絶品だと思います。タキシードにアイパッチが絶妙に萌えです(笑)
今度、こんな男前男子が描きたいわ?♪
そしてクラウディア・カルディナーレ演じる美貌の婚約者のアンジェリカ。
何といったらいいのでしょう。
特にその眼差しが印象的だ。
圧倒的な美しさのカップル。(ぴかぴか)
私、濃い顔好きだよね。
うん。(笑)
私がサリーナ公爵に好感を持つのは、とても現実的で潔く
そして偏見をもたずにアンジェリカに敬意をはらい、タンクレディとアンジェリカを
心から祝福し、この若い未来あるカップルを愛しているのを感じるから…。
公爵とアンジェリカがワルツを踊るシーンは、本当に素敵!
(叔父(公爵)を魅力的と感じ尊敬しているタンクレディは
公爵がアンジェリカの手に愛情込めた口づけするところにちょっと複雑な思い…
というところに、ふふっと思ってしまった)
とにかくクラシカルでエレガント!←ここ重要。
(エレガントに説明できない自分が悲しいんですが(笑)
ガリバルディ軍の将軍にジュリアーノ・ジェンマが演じています。
ラストの30分にも及ぶパーティーシーンは
圧巻です。
映画特集の番組(だったか?)のエピソードで存じあげたのですが、
監督は本物嗜好のひとで、スタッフが花壇の花を造花使おうとしたら(季節もので、手にはいらなかったんじゃないかとか)烈火のごとく怒ったとか。
華やかな貴族世界を感じられ、いろいろと考えさせられてしまう
印象的で哲学的な映画です。